忙しい毎日、ついついスーパーで出来合いの惣菜を買ってしまうことも多いと思います。休日にゆっくりと料理を楽しむ一時を持ってみてはいかがでしょう。たとえば、ボンゴレビアンゴを食べたい時、あさりは塩水にひたして砂を吐かせてからよく洗います。ニンニクをみじん切りにしてオリーブオイルでソテーし、白ワインで蒸します。あさりの殻を装飾用に数個残してゆで上がったパスタとバターを入れてなじませます。レトルトのソースと違い、とても手間のかかる料理です。
ボンゴレビアンゴを例にあげましたが、スローフード運動は、バラエティ豊かな地域の食を再発見し、これを愉しみながら、人が豊かに、そして平和に生きていくうえで欠かすことのできない「食の喜び」を取り戻そうという運動です。
ここ数年、「スローフード」という言葉が、日本でもようやく浸透してきました。さいわい日本には、国土の6割以上の山間部や多くの島々があり、多様な風土にそれぞれの食生活、嗜好、気候に適した豊富な食材、調理法が根づいています。
こうした美味しくてバラエティ豊かな地域の食を、担い手とともに守っていきたいと考えています。国境・言語・文化を越えた対話を通じて、「スローフード」も次第に、円熟味を増してきたといえます。私たちが、最も力をいれているのは次の3点です。
そして、最初の国際大会となったパリ大会で 「1989年スローフード宣言」 が採択され、その後21世紀になって、ナポリ大会で新たに 「2003年スローフード宣言」 が採択されました。「スローフード」の哲学は、いまでも、世界を駆け巡るなかで進化を続けています。