味の箱船が目指す物各地方の伝統的かつ固有な在来品種や加工食品、伝統漁法による魚介類などのなかには、このままでは消えてしまうかもしれない、小さなつくり手による希少な食材がたくさんあります。「味の箱舟」(アルカ)プロジェクトとは、こうした食材を世界共通のガイドラインで選定し、プロモーション活動などの支援策によって、その生産や消費を守り、地域における食の多様性を守ろうというもの。大量生産・大量流通のなかで、世界を包み込もうとする「食の均質化」を「大洪水」に、未来の子供たちに残したい味を「箱舟」にたとえています。イタリアでは、すでに500以上の貴重な食材を「味の箱舟」に選定するなどして、取り組みを進めています。
日本でも、2003年に第1回の「味の箱舟」の調査を全国の各協会にお願いしましたが、それから2年間、予算の確保や推進体制づくりなどに手間取り、文字通り“スロー”なスタートになりました。ようやく2005年の4月に、選定を行うための「味の箱舟」学術委員会を開くことができ、2005年12月に日本で初めての「味の箱舟」認定を公表させていただきました。今後も、取り組みをさらに本格化していきます。
スローフードジャパンでは、「味の箱舟」の生まれる現場をみなさんに肌で感じてもらおうと、現地ツアーをはじめました。主催は、「味の箱舟」候補を推薦する協会です。わが土地こそは「味の箱舟」の宝庫、という協会は、どんどん手を挙げて下さい。
このツアーは、旬のおいしさを味わい、当地の会員と交流しながら、生産現場を知ろうというもの。普段は口にできない希少な食材を味わえるのは、会員さんだけの特権です。また、各地に広がる協会間での交流を進めるキッカケの1つにもなるかもしれません。普通のツアーでは決して体験できない、味をめでるスローな旅。「味の箱舟」プロジェクトがわからないという会員さんも、ぜひ参加して下さい。
今後も、「味の箱舟」プロジェクトに関連するいろいろなイベントを考えていきます。ぜひ、日本でも、真のローカリズムの風を吹かせながら、次々と「味の箱舟」を就航させていきましょう!!
「味の箱舟」には、世界中の「味の箱舟(アルカ)」委員によって定められた5つの認定基準と3つの禁止事項があります。日本でも、それを踏まえながら、国内の「味の箱舟」学術委員会が中心になって認定品目を検討していきます。スローフード協会の各コンヴィヴィウムの皆さんが強い想いをこめて推薦するこれらの食品は、かけがいのない地域の宝物です。地元の皆さんや生産現場の人たちと手を取り合いながら、次世代に引き継いでいきましょう!
5つの認定基準
3つの禁止事項